あの日の告知から数日。
いよいよ「スタッフ100日グルテンフリーチャレンジ」がスタートする日がやってきた。
ナイス興津 「よし、今日からみんなでスタートするよ!」
そう声をかけると、返ってきたのは、なんとも言えない微妙な空気。
スタッフのひとり 「店長、正直、今朝もコンビニでパン買っちゃいました…」
ナイス興津 「え!?初日から!?」
無理もない。長年の習慣というのは、そう簡単には変えられないものだ。朝はパン、休憩中はスナック菓子、小腹が空いたらカップ麺。そんな生活を何年も続けてきたスタッフたちにとって、グルテンフリーは「知識」ではあっても「習慣」ではなかった。
そこで僕は、まず休憩室の棚を変えることにした。
いつも置いてあった菓子パンやスナック菓子をそっと片付け、代わりに置いたのは、店で余ったソバゲットと、Soppaを使った簡単なまかない。
スタッフのひとり 「え、これ食べていいんですか?」
ナイス興津 「もちろん。というか、これしか置いてないから(笑)」
最初は戸惑いながらも、恐る恐る手を伸ばすスタッフたち。
スタッフのひとり 「あ、意外と普通に美味しいっすね」
スタッフのひとり 「パスタみたいでいいじゃないですか、これ」
そんな声が上がる一方で、やはり数日もすると、我慢の限界を訴える声も出てきた。
スタッフのひとり 「店長、正直言っていいですか。夜、無性にラーメンが食べたくなるんです」
ナイス興津 「わかるよ、その気持ち。僕も最初はそうだったから」
実際、グルテンフリーを始めた最初の数日というのは、多くの人が「小麦断ち」特有の欲求と戦うことになる。これは単なる気合の問題ではなく、身体が慣れ親しんだものを求める、ごく自然な反応でもある。
だからこそ、僕はスタッフに無理強いはしなかった。
ナイス興津 「100日間、完璧じゃなくていい。まずは『続けてみる』ことが大事なんだ」
そう伝えると、スタッフの表情が少しだけやわらいだ気がした。
初日を終えたその晩、閉店後の店内で、スタッフたちがぽつぽつと感想を漏らし始めた。
スタッフのあや「思ったよりキツくないかも」
スタッフのこくぼ 「でも、正直まだ半信半疑です」
半信半疑。それでいい。今はまだ、それでいいのだ。
このチャレンジの本当の変化が姿を現すのは、まだ少し先の話になる――。
(第3話へつづく)

