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自然界にほぼ存在しない砂糖?「希少糖」を発見した香川大学の偶然

■ 自然界にほぼ存在しない砂糖?「希少糖」を発見した香川大学の偶然

「自然界にあるのに、自然界にはほとんど存在しない糖」と言われたら、矛盾しているように聞こえるかもしれません。でも、これがまさに「希少糖」の正体です。

国際希少糖学会の定義によると、希少糖とは「自然界に微量にしか存在しない単糖およびその誘導体」の総称。その数、なんと50種類。中でも代表格の「D-プシコース(アルロース)」は、香川大学が数多くの植物・野菜を調べた中で、唯一「ズイナ」という植物の葉に数%程度含まれることが分かっているだけ。つまり、このプシコースを普通の農作物から集めようとしたら、気の遠くなる量の葉が必要になる計算です。

ところが1991年、香川大学農学部のキャンパス内の土壌から、果糖をD-プシコースに変換する酵素を作る微生物が偶然発見されました。研究者が意図して探し当てたというより、大学の敷地内にたまたま存在していた、というのが面白いところです。この発見をきっかけに研究が進み、2000年には大量生産方法が確立。今では香川大学の研究機構が、50種類ある希少糖のすべてを生産できる、世界で唯一の研究機関になっています。

自然界にはごくわずかしか存在しない糖を、人の手で量産できるようにする。まるで錬金術のような話ですが、これは日本発、しかも大学キャンパスの土の中から始まった技術なのです。

■ 今日のちょっと役立つ話:甘味料の「甘さの正体」を知ると選び方が変わる

砂糖・希少糖・人工甘味料。どれも「甘い」という点は同じでも、体の中での扱われ方はまったく違います。

精製された砂糖(ショ糖)は消化されるとブドウ糖と果糖に分解され、すぐにエネルギーとして吸収されます。一方、プシコースのような希少糖は、砂糖と似た構造を持ちながらも消化・吸収されにくい性質があるとされ、それでいて砂糖の7割程度の自然な甘みを持つとされています。「甘みはあるのに、吸収のされ方が違う」というのが希少糖のユニークな立ち位置です。

甘味料を選ぶときのちょっとしたコツとして、パッケージの成分表示で「果糖ぶどう糖液糖」「砂糖」「希少糖」「人工甘味料」のどれが使われているかを見比べてみると、同じ「甘い」でも背景にある成分がまったく違うことに気づきます。知っておくと、日々の選択が少し変わってくるかもしれません。

そば半では、そばつゆの「返し」を仕込む際、精製された砂糖は一切使用せず、この希少糖を使っています。1kgあたり2000円という決して安くはない甘味料ですが、「グルメとダイエットの両立」というコンセプトを譲れないものにするための選択です。たまり醤油と合わせて3ヶ月熟成させた返しに、駿河純水から生まれる濃い出汁と、ミネラル豊富な駿河濃水を加える。甘さ一つとっても、そば半のこだわりは糸を引くようにつながっています。

香川大学の土の中から始まった小さな発見が、めぐりめぐって、ここ焼津の一杯のそばつゆにも息づいている。そう考えると、なんだか不思議な気持ちになります。