第4話:「食後の不快」
3週目に入り、
スタッフたちはグルテンフリー生活に少しずつ慣れ始めていた。
しかし、
ある日のランチ終わりのまかない(スタッフのごはん)時に、
思わぬ出来事が起こった。
「うぅ…急にお腹が痛くなってきた…」
「私も…トイレに行きたくなっちゃった…」
スタッフたちが次々と体調不良を訴え始めたのだ。
興津は慌てて駆けつけ、状況を確認した。
ナイス興津
「みんな、どうしたんだ?
まさか、グルテンフリーの食事が原因じゃないよね?!」
スタッフたちは苦しそうに顔を振る。
「いえ…昨日の丸亀で普通に釜揚げうどんの大盛りいっちゃったんです…」
「私も、家で普通の食パンを食べちゃいました…」
ナイス
「ぶっ!(君たち先週のタクミの話聞いてた?!)
興津は思わず吹き出しそうになったが、
何とか自分の舌ベラを上唇に当てて笑いをこらえ、
堪えようとした。が、
ソレはあくびを我慢するときの方法だったことを思い出し
やっぱり噴き出してしまった。
ナイス
「ぶははは!みんな、よく正直に言ってくれた。
実は、これは『グルテンチャレンジテスト』だったんだ!」
「え?テスト?」
スタッフたちは驚いて興津を見つめる。
「そう!グルテンフリーに慣れてきて腸内環境が
改善してるのにガッツリ小麦を食べると、
こんな風にズ~ンと体が反応するんだよ。
でも、これを知ったら、
もう二度とグルテンには手を出さないはずだね」
興津の説明に、スタッフたちは納得した様子で頷いた。
それからは、スタッフ全員が本当の意味でグルテンフリー生活を送るようになった。そして、驚くべき変化が起こり始めた。
「最近、全然お腹が痛くならないし、むくみもなくなった気がする!」
「私は肌の調子が良くなってきたよ!」
スタッフたちが次々と嬉しそうに報告する。興津も満足そうに頷いた。
「これが、グルテンフリーの本当の力だ。
みんなの体が、ようやく本来の健康を取り戻し始めたんだよ」
こうして、スタッフたちはグルテンフリーの効果を心から実感することができた。そば半の100日間チャレンジは、新たなステージに突入したのだった。
【おまけ】
そのころ、スタッフの一人が興津に聞いた。
「ところでナイス興津、
『グルテンチャレンジテスト』ってのは、
本当はウソですよね?」
興津は少し照れくさそうに笑った。
「ばれましたか?
でも、みんなが本気でグルテンフリーに取り組む
良いキッカケになったと思うんだ。
だから、いい方便だったと思うよ」
スタッフもクスリと笑って、ナイスの肩をポンと叩いた。
「さすがナイス興津!
これからも、よろしくお願いしますね!」
二人の笑い声が、そば半の店内に響き渡った。
グルテンフリーの旅は、まだまだ続いていくのだった。